地域おこし協力隊と地元住民の協力関係に関する一考察 -お互いの不足を補うー
こんにちは。地域おこし協力隊のはやとです。
昨年、島内の地域住民を対象に、「地域おこし」に関する大規模なアンケートを実施しました。
その結果を踏まえ、協力隊は2018年4月21日(土)にフリーマーケットを実施します!
(詳細)
先日、協力隊はフリーマーケット開催準備のために、地元の商工会、漁師の方などから島を盛り上げたいという熱い志を持った方々が集まった「島おこし全力隊」とのミーティングを行いました。
意外と島で暮らしていても地元の方々と触れ合う機会は少ないため、私はとても緊張しました。
島おこし全力隊は、見た目はいかついですが中身はフランクな方々で、島民目線からフリーマーケットその他に関する大変有用なアドバイスをいただきました。
また彼らの方でも、フリーマーケットの開催後に近くのバーで夜の部を開きたいとのことで、協力隊と一緒にやっていこうという流れになりました。
私は、このミーティングの後、我々協力隊はこの島で何ができるのか、「全力隊」の方々との関係から考えてみました。
地域おこし協力隊の、地域住民の方々に対する「強み(strength)」は何か?
正直なところ、地域の新参者である私たちに強みはあまりないと思います。
しいて言えば、地域のしがらみを受けることが少ない点、「思い切ったこと」をやることに対して地元の人々より抵抗が少ない点、他の地域(特に都市部)とのつながりを持っている点、人によってはデザインやデータ分析などのスキルを持っている点、が挙げられるかと思います。
私たち協力隊は、これらの「強み」をいかして、あくまで地元の「先輩」である地域の人々のうち、地域おこし等への熱い想いを持っている人と連携しつつ、彼らに学びながらやっていくのが一番現実的で、よいのではないかと思います。
「地域おこし」の着地点がどこなのか、いまだ結論はわかりませんが、私たちの取り組みが、礼文町、そして地域社会の発展の一助となればと思います。
【2018年2月3日掲載】北海道新聞「ひと2018」でブログ著者が紹介されました!
2018年2月3日の北海道新聞(全道版)の「ひと 2018」で、ブログ筆者の活動が紹介されました!
「地域おこし協力隊」の役割を調査した隊員 片桐勇人(かたぎり・はやと)さん :どうしん電子版(北海道新聞)
記事中では、以前協力隊で実施した礼文島民に対するアンケート調査の活動も紹介されました。ぜひご覧ください!
北海道礼文島生活:1月の礼文島フォトギャラリー
(photo by S.Inagaki)
こんにちは。地域おこし協力隊のはやとです。
今年は、本州の方も冷え込みが厳しいようですね。
最近では珍しく、フェリーが3日半連続欠航しました。
この記事では、そんな荒れた天気の中で数少ない晴れの日を狙って、私と、協力隊の同僚であるいながき氏 (@gkakkey) が撮影した写真を載せていきたいと思います。
(photo by S.Inagaki)
北海道礼文島移住雑感:礼文島に1年9ヶ月住んで思ったこと
あけましておめでとうございます。地域おこし協力隊のはやとです。
読者のみなさんはいかがお過ごしでしょうか。
私は実家の愛知県に帰省しています。
実家や東京に帰るたびに、「自分が島に住んでいるのは夢なのでは?」なんて思います。
両親や友人に「ドラッグストアがないとこに住んでるんだよ」と言っても、自分自身半信半疑になります。ほんとにそんな世界があるのか、と自分でも思ってしまいます。
とにかく、自分が属している都会の世界からすれば、本当に不便極まりない、不自由な場所です。特に暗く寒い冬は、太平洋側の人間である私には本当に辛いです。
そんな場所に住んで、まもなく2年になろうとしています。日本最北限の有人離島・礼文島で私が目撃したのは、東京や名古屋と変わらない、人の営みでした。
私が好きな小説で、夏目漱石の『草枕』というのがあるのですが、その冒頭には
智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。兎角に人の世は住みにくい。
とあります。文章はさらに、
住みにくさが高じると、安い所へ引き越したくなる。どこへ越しても住みにくいと悟った時、詩が生れて、画が出来る。
と続きます。
学生時代、私は迫り来る就活の足音から逃れるように、世界各地を旅しました。そしてアフリカの奥地に行った時、やはりそこにも社会があり、人間がいたことを「発見」しました。
(詳細は下記参照)
今回の礼文島移住も、私にとってはその確認でした。
日本最北端まで来て、どうやら「どこへ越しても住みにくいと悟った」ようです。
どこかに理想郷があると信じて旅をしていた若者が、理想郷が存在しないことを薄々悟る。それでも「理想」を求めて創作することを志向する。自分はこのような流れの中にあるのだと思います*1。
ですが、頭で理解したからといって、「こじらせた」自分が、実際に自分自身を(日本)社会と折り合いをつけさせるのは簡単ではないと思います。
自分にとっては、他でもないその「こじらせた部分」が大切だったりするのです。
今後の私の人生がどうなるかはわかりませんが、礼文島で感じたことを活かしつつ、自分を表現していけたらいいなと思います。
最後に、今週のお題「2018年の抱負」とのことなので、抱負を書きます。
2018年、私は、自分の価値と向き合い、社会の中で表現する方法を探り、何か1つ形にする。
少し長いですが、2018年の抱負をそう定義しておきます。
-「地域おこし」とソーシャルキャピタル - 求めるのは経済的な発展か、社会的なものの充実か?
こんにちは。地域おこし協力隊のはやとです。2017年ももうすぐ終わりですね。昨日は礼文町の協力隊員7名が私の家に集まって、みんなでクリスマスパーティーをしました!
私はもうすぐ、礼文町に協力隊員として赴任して2年になります。
2年間、ほんの少しですが「地域おこし」活動に従事し、私なりの問題意識もおぼろげながら見えてきたような気がします。
以前この記事で書いたように、私は「地域おこし」のゴールとして、経済的発展や「つながり」などの社会的なものが発展すること、を挙げました。
このうち、経済的発展の方は、たとえば特産品の開発や観光誘致など、方法も成果も見えやすいです。
しかし、私が協力隊員として活動するにあたって「つながり」などのソーシャルキャピタルの発展をゴールにしたとき、経済的発展と比較して、方法や成果が非常に見えにくいと感じました。ですが、これらが経済的な発展と並んで重要なのは明らかだと思います。
そこで私は、
1)地域におけるソーシャルキャピタル、あるいは宇沢弘文が主張している自然・医療・教育などの「社会的共通資本」の存在が、住民にどのような効用の増大をもたらすかを(できれば定量的に)解明し、見えるようにすること
2)(ソーシャルキャピタルの増大が住民にプラスの影響を与えるという仮定が正しかった場合)いかにしてソーシャルキャピタルを増大させることができるのか
の2点を研究を通して明らかにしていくことに今後取り組んでいきたいと思います。
今年は、礼文町の協力を得て大規模な「地域おこし」に関するアンケート調査を実施しました。来年はそれらのデータを元に、仮説を検証していくつもりです。
(島内アンケートの集計結果報告書等はこちら↓)